きのせみかの大和撫子な生活

清楚で慎ましく、凛とした女性を目指して・・・ 今日を大切に活きたい。

Entries

生類を支配・利用する欧米人と、仲間として共に生きる日本人

 欧米人と日本人、両者の自然に対する処し方は全く異なり、特に、動物に対する接し方にはその特徴が良く顕れている。欧米人にとっては、動物を支配・利用するのが当たり前であるが、明治以前の日本人は、動物を自分たちと共に生きる仲間と考えていた。人間が自然の摂理を冒すことを、決して良しとしなかったのである。

渡辺京二『逝きし世の面影 』第十二章 生類とコスモスより引用

***
(p488)
 さて馬はといえば、日本の馬は欧米人たちの間では、癖が悪いので有名だった。パンペリーは、これは北海道の馬についてだが、「去勢されていない牡であるため、彼らの劣悪な性質は普通はっきりとあらわれる」と言う。何が劣悪かというと、乗り手を放り出すのである。彼はこの馬たちのことを「始末に負えない獣」と呼んでいる。

 オイレンブルク一行も日本の馬には悩まされた。ベルクは言う。
「馬は小さく体格が悪く、かけ足やギャロップは多くやるが、速歩はいやいやながらかろうじてする。しかし、けわしい斜面の道や多くの階段は至る所にあるので、駆け上ることには非常に長じている。騎乗するのは牡馬のみであるが、常に注意深くしていなければならない。なぜなら、ほとんどすべての馬は咬みつく癖があり、またたがいに歯や蹄で喧嘩し合うからである」。

***
(p496)
 バードの見るところは全く違っていた。
「馬の性質が悪くなるのは、調教のときに苛めたり、乱暴に取り扱うからだと以前は考えていたが、これは日本の馬の性悪さの説明にはならない。というのは、人びとは馬を大変こわがっていて、うやうやしく扱う。馬は打たれたり蹴られたりしないし、なだめるような声で話しかけられる。概して馬のほうが主人よりよい暮らしをしている。おそらくこれが馬の悪癖の秘密なのだ」。
 要するに彼女は、日本の馬はあまやかされて増長していると言いたいのだ。

「馬に荷物をのせすぎたり、虐待するのを見たことがない。……荒々しい声でおどされることもない。馬が死ぬとりっぱに葬られ、その墓の上に墓石が置かれる」。
 馬は家族の一員であったのだ。彼女は馬子たちがけわしい道にかかると、自分の馬に励ましの言葉をずっとかけどおしなのに気づいていた。

***
(p497)
 日本人は牡馬を去勢する技術を知らなかった。知らぬというより、そうしようとしなかったというべきか。古き日本にも駅逓の制があり牧の制があって、馬を集団的に統御する必要がなかったわけではない。それなのに、去勢をはじめとする統御の技法がほとんど開発されなかったのには、なにか理由がなくてはならぬ。

 それはやはり彼らが、馬を自分たちの友あるいは仲間と認め、人間の仲間に対してもそうであったように、彼らが欲しないことを己れの利便のために強制するのをきらったからであろう。
 バードは馬に馬勒をつけさせようとして、人びとの強い抵抗に出会った。彼らは「どんな馬だって、食べるときと噛みつくとき以外は口を決して開けませんよ」と言って、馬勒をつけるのは不可能だと主張した。バードが「ハミを馬の歯にぴったり押しつけると、馬は自分から口を開けるものだ」と説明し、実際にそうやって見せて、彼らはやっと納得したのである。

 つまり当時馬を飼っていた農村の日本人は、ハミをかませるなどというのは馬の本性に反することで、本性に反することは強制できないと考えていたことになる。
 去勢などは、馬の本性すなわち自然にもっとも反することであったろう。彼らは馬に人間のため役立ってほしいと思っていたに違いないが、さりとて、そのために馬に何をしてもいいとは考えていなかった。彼らは馬にも幸せであってほしかったのだ。人間の利益と馬の幸福の調和点が、外国人から見ればいちじるしく不完全な、日本的な馬の扱いとなって表われたのである。
***


生類を支配・利用する欧米人と、仲間として共に生きる日本人(るいネット)より
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=293593

-------------------------------------------------

 欧米人にとって動物は支配・利用するものであるという思想は、『創世記』中で、人間を創造した神が「これに海の魚と、空の鳥と、家畜と他のすべての獣と、地のすべての這うものを治めさせる」ようにしたという伝承に基づくものと思われますが、日本では古来より、人間も自然の一部であり、しかも人間が生きていくために必要なものは全て自然界からいただいているため、自然と共生するという神道的な思想を持っていました。
 ちなみに、江戸時代には犬も飼われており、下記のような興味深いお話が残されています。


-------------------------------------------------

 文政(1818~1830年)の頃、常陸国筑波郡小栗の里の隣村に狩人が住んでいましたが、山狩りのために白犬を一匹飼いおいて常に労(いたわ)り、家の内に犬の寝床を構えて人のように養っていました。
 この狩人の娘が十七歳になった時、病の床に伏し、水腫脹満(住血吸虫病)の症状となって悩み苦しんだため、薬を与え、神にも深く祈ったのですが効験はありませんでした。隣村の名医も「必死の症状である」としてそれ以上薬を与えず、また同国の笠間侯の御殿医にも治療を頼みましたが、「必死の症状で薬を与えても益はなく、却って苦しむことになる」として断られ、父母は既に頼む力も無く、術(すべ)も尽き果てて悲しむばかりでした。

 その娘は「このように厚く看病していただいても治療が届かないのは私の定業(じょうごう、前世よりの定め)です。私は死ぬ覚悟はできていますので、どうか嘆かないで下さい」と云いますので、両親は一層悲しみに耐えられなかったのですが、折から手飼の白犬がいつものように妻に馴れかかったため、妻が「娘の九死に一生の嘆きも知らず、馴れかかるとは何事ぞ。お前、性あるならば娘の身代わりに立ってみよ」といったところ、犬はそのまま家を出て、日暮れになってから水に濡れて家に帰って来ました。

 白犬にはいつものように食物を与えましたが、翌日も朝食を食べてからまた昨日のように家を出て、日暮れになって水に濡れて帰って来ました。このようにすることが三日続き、その犬は腹が脹(ふく)れて病気になり、動くことができなくなって床に伏してしまいました。そうしたところ、娘の脹満の症状が快復し、次第に腹の腫れがひくに従って犬の腹はますます腫れ出し、全く脹満の症状となってしまいました。

 かくして娘の病気は日々に快くなり、犬が終に病死した後、娘の病は全く快復して健康になりました。狩人夫婦は「畜生ながらも私たちがいったことを聞き分けて、娘の身代わりに立ったのだろう」と思って感涙に袖を絞り、「この犬は死んでも犬ではない。私の娘の身代わりだ。厚く葬礼を営んでやろう」として、菩提寺にその旨を伝えて人間同様の葬式・引導を願い、親類縁者が集って村中の人々を招き、棺や葬具を調(ととの)えて葬儀を営み、菩提寺より贈られた戒名を石碑に彫って墓印とし、月忌・年忌も弔われました。

 さて、葬礼の時に村中の人々が集まって、「かの犬は家を出て終日帰らず、日暮れに水に濡れて帰ったのはいかなる訳だろうか」と話をしたところ、その犬は家を出てから、その村の産土(うぶすな)の神社に参り、御手洗(みたらし)の池水に入って身を清め、神の宮垣を終日回って祈念する様子を見た人が数多(あまた)あったそうですが、これは全く「主人の娘の身代わりに立たせ給え」と犬の心に神を祈ったに違いありません。
 その狩人の娘は近くの村に嫁いで子供を数多産み、嘉永二(1849)年の現在、三十六歳で健やかに暮らしているそうであります。



怪異実話(22) -身代わりとなった犬のこと-(日本古学アカデミー)より
http://www.nihonkogaku.com/content/index_top.cgi


<関連>
日本人が知らないキリスト教の教義
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-1672.html

日本人の自然観を取り戻そう!
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-2560.html

日本語の「自然」と英語の「nature」の違い
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-1630.html

<参考>
徳川期の日本人にとって、人間は鳥や獣と同じく生きとし生けるものの仲間だった(るいネット)より
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&t=6&k=2&m=293836



ランキング参加中。応援してくださる方はこちらを全部クリック!
人気ブログランキングへ精神世界ランキングにほんブログ村 歴史ブログ 日本の伝統・文化へ
関連記事
スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

紀瀬美香

Author:紀瀬美香
古学(国学)・古神道研究家。
日本古学アカデミー代表。

日本古来の大和心(清明心)をもう一度復活させましょう!清楚で慎ましく、凛とした大和撫子を目指して・・・
今日を大切に活きたい。

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
157位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
哲学・思想
15位
アクセスランキングを見る>>

最新記事

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

右サイドメニュー

検索フォーム

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ村ランキング