きのせみかの大和撫子な生活

清楚で慎ましく、凛とした女性を目指して・・・ 今日を大切に活きたい。

Entries

和歌の霊験

 磯丸が京都より帰国の折、伊勢大神宮に参詣したのは(旧暦)八月末のことで、朝夕は既に寒くなっていたのですが、旅立ったのは夏の頃で、衣服は夏の単物(ひとえもの)だったため、
 「いかにせん 中は過ぎゆく 秋風に 夏のまゝなる 旅の衣手」
と詠んだところ、伊勢長官より衣服を賜り、さらに両宮の神職の家々より衣服数反も賜り、それらの衣服は伊勢より参州・伊良古崎まで伝馬二頭によって運送されました。

 また、ある人が稲田に蝗(いなご)が付くことを憂えて、磯丸に「蝗を除く歌を詠んで下さらんか」と頼んだので、
 「露ならで いとふ稲葉に つく虫を はらへ水穂の 国つ神風」
と詠んで賜ったところ、その歌を書いて稲田に立てると忽(たちま)ち蝗は消えて稲が栄えました。

 また、ある人の子が白くもという病にかかり、髪の毛が抜けるほどになったため、「白くもを治す歌を詠んで下さらんか」と頼まれ、
 「人草の 上にかくれる 白雲を はらへ高まの 原の神風」
と詠んで賜りました。そして小児の月代(さかやき、前頭部)を剃って頭をよく洗い清め、その歌と磯丸という名を隙間なく真黒になるまで書かせたところ、白くもの病は忽ち治ったのでした。

 また、ある人が瘧(おこり)の病を煩って歌を頼んだ時には、
 「天地(あめつち)を 動かすことは 難(かた)からめ 露のおこりを おとせ言の葉」
と詠んで賜ったところ、瘧の病は忽ち癒えました。

 また、ある人が肩に疔(ちょう)という腫物が二、三できたのを患って歌を頼んだ時には、
 「立て往け花 なきかたに 二つ三つ 何を便りに 蝶(疔)留まるらん」
と詠んで肩に書いたところ、疔の腫物は忽ち消えました。

 また、ある人が旅立つ時に、道中で無難の守り歌を頼んだため、
 「玉鉾の 道の守りの 神かけて 恙(つつが)なかれと 祈る言の葉」
 「野辺にても 暮れなば宿を 借る茅の 葉におく露の 身こそ安けれ」
と詠んで賜わったのですが、この歌は今も霊験があり、また他にも歌に奇特があったことが数多く伝えられています。

 磯丸は若い頃は無筆でしたが、歌人となって後は自らの歌を自筆して残したため、天保末(1844)年、齢(よわい)八十余歳で終焉を迎えた後も、それを世の人はただただ賞翫(しょうがん、尊重)しました。また、伊良古崎の町家が出火した時、磯丸の家のみ焼けずに残ったことも不思議なことであります。



怪異実話(15) -参州磯丸の歌のこと-(日本古学アカデミー)より
http://www.nihonkogaku.com/content/report.cgi?co=299

---------------------------------------------

 宮地神仙道の鼻祖・宮地常磐大人によれば、百人一首中の藤原興風の歌「誰をかも しる人にせん 高砂の 松も昔も 友ならなくに」は幼児の夜泣きを止める効験があるとされ、剣を抜いて戦う際には、崇徳院の「瀬をはやみ 岩にせかるる 瀧川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」という歌の一部を唱えることによって敵を打倒する術となるなど、和歌を用いた禁厭(まじない)法は古来より数多く伝えられています。

 また、「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」という歌を認(したた)め、元旦の夜に枕の下に敷いて眠ると吉夢が見られるとされ、外出する際には「きしひこそ まつのみきはに ことのねの とこにはきみが つまぞこひしき」と唱えることによって無事に帰宅できるという古伝承がありますが、これらの歌は上から読んでも下から読んでも同じになる回文(まわりふみ)で、まさに言霊の妙味というべきでしょう。



<関連>
日本の神々の御歌
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-1388.html

日本人の心を歌う「やまとうた」
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-1576.html

アフリカにも影響を与えた皇后陛下の御歌
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-795.html



ランキング参加中。応援してくださる方はこちらを全部クリック!
人気ブログランキングへ精神世界ランキングにほんブログ村 歴史ブログ 日本の伝統・文化へ
関連記事
スポンサーサイト

*Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

紀瀬美香

Author:紀瀬美香
古学(国学)・古神道研究家。
日本古学アカデミー代表。

日本古来の大和心(清明心)をもう一度復活させましょう!清楚で慎ましく、凛とした大和撫子を目指して・・・
今日を大切に活きたい。

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
102位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
哲学・思想
15位
アクセスランキングを見る>>

最新記事

全記事表示リンク

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

右サイドメニュー

検索フォーム

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

ブログ村ランキング