きのせみかの大和撫子な生活

清楚で慎ましく、凛とした女性を目指して・・・ 今日を大切に活きたい。

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「いただきます」の作法

 イタダクは、しゃれて「頂戴する」といった人が多いのをみてもわかるように、元来は物を頭に載せることでありました。木でも山でも頂上がイタダキで、それらもみなこのイタダクという動詞にもとづき、人の頭をそう呼んだのが始めかと思います。また頭に魚の桶を載せて売りにあるく女たちを、北陸や四国の海近くで、イタダキと呼んでいるのもその証拠であります。

 以前は目上の人から衣服などを賜った場合にも、纏頭(てんとう)といって頭の上にかつぎました。それをのちのちは少しずつ省略して、ただ両手に持って目よりも高く、ちょうど額のあたりまでさし上げてすぐにおろすのを、イタダクまたは頂戴するということにしたのであります。

 食べ物などをイタダクというようになったのは、おそらくはこの略式が普通になってからの後のことかと思いますが、あるいはこれさえもかつては頭のてっぺんに、のっける形をした時代があったかもしれません。小さな児が喉に魚の骨を立てた場合に、同じ骨の一部を頭の上にちょういと置くというまじないが、今でも残っておりましてなかなかよくききます。

 食べ物をイタダク場合というのは、もとは神様の前か貴人の前で、改まった日の食事として、同時に同じ物をごいっしょに食べる時で、昔はその共食を相饗(あいあえ)とも、また直会(なおらい)ともいっておりました。その事実時だけはその食べ物を、頭へかまた額までか戴いていたものと思われます。



『毎日の言葉』(柳田国男)より

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 江戸時代の日本古学(国学)の泰斗・平田篤胤先哲は、膳に向かうたびに礼をしてから箸をいただき、飯椀を取って頭上に捧げ、目を閉じてしばらく言葉を唱えていましたが、その理由について次のように述べられています。

「世にあるものは、全て神の恩頼(みたまのふゆ)によらないものはないが、中でも五穀は伊勢外宮に鎮まります豊宇気姫神と申す神の御体より成ったもので、内宮に鎮まりませる天照大御神が「こは愛しき青人草(人類)の食ひて活くべきものぞ」と宣われて殖生(ふや)し給われたことから始まり、その他の食物も外宮の神の神徳によらないものはないため、膳に向かう時にはまず大神たちにその謝礼を申し上げるのだ。
 箸をいただくにせよ何にせよ、一つの用をなすものには全て霊(みたま)があり、決して粗略にせず、少しでもその徳に感謝しようとしている。机に向かう時も退く時も、全ての文具に礼をなすのはこの意味である。 
 また、椀を取ってしばらく念じることは、日々に天地間にますあらゆる鬼神に、私の身分に応じた供え物はするけれども、それではまだ満足がいかず、常に食事をするたびに、その初穂を手向け、私はその残りをいただくという志を表すだけである。」

「膳に向かう時にはまず大神たちにその謝礼を申し上げる」「私はその残りをいただくという志を表す」というあたりが字眼で、神祭後の直会の際もこのような心で供え物をありがたくいただきますが、感謝の気持ちの重要性については以前のエントリーで記したとおりです。

 外食の際などは人目を憚って飯碗を頭上に捧げるような作法はできませんが、このような古来よりの日本の心はいつも忘れないようにしたいものですね。



<関連>
科学が実証する「感謝の気持ち」の重要さ
http://kinosemika.blog134.fc2.com/blog-entry-2488.html

<参考>
伊勢外宮に鎮まります豊宇気大神(日本古学アカデミー)
http://www.nihonkogaku.com/content/report.cgi?co=75


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*Comment

こんばんは 

記事を読んで、ピンときた事があります。それは人が生きるのに一番必要な水と空気に感謝しなければならないなぁって事であります。それとついつい忘れがちになる食前のいただきますの心も律して頂き、ありがとうございます。
  • posted by satoshi 
  • URL 
  • 2013.09/09 19:56分 
  • [Edit]

Re: こんばんは 

satoshiさん
空気は目に見えず触れることもできませんが、そのような存在に対して感謝申し上げることができたのが、八百万神を拝してきた日本人なのかもしれませんね。
  • posted by 紀瀬美香 
  • URL 
  • 2013.09/10 10:05分 
  • [Edit]

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紀瀬美香

Author:紀瀬美香
古学(国学)・古神道研究家。
日本古学アカデミー代表。

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